食品工場での健康経営

最終更新日:2021年10月25日

本社と工場の隔たり

多様な企業の健康経営の取り組みに関わる実感として、本社と工場(全国事業場)の隔たりがあります。たとえば、朝食提供、社員から構成される運動部といった素晴らしい取り組みが本社にとどまり、工場の社員の方から「そんなことをやっていたんだ」と驚かれることもあります。もちろん本社でまず小さく取り組み、効果的な取り組みを全事業場に広げていくことは費用対効果の観点から現実的で良いのですが、いつまでも業務パフォーマンスが高まる優れた取り組みを本社だけにとどめてしまうことは非常にもったいないと感じます。経済産業省が推進する健康経営優良法人制度では、本社だけではなく全事業場での健康経営の取り組みが求められていますし、今後の展望として自社の取り組みをサプライチェーンや社会全体にも広めていくことが期待されています。

食品工場の課題

まず大前提として本社と工場(全国事業場)の隔たりの最大の要因は「健康づくり担当者」であると考えます。すなわち工場(全国事業場)で本社と同期して健康経営を推進できる人材がいないということです。実際に多くのケースで健康づくり担当者が選任されていなかったり、本社の健康経営の取り組みやノウハウがまったく共有されていない状況が見受けられます。健康づくり担当者はすでに配置されている衛生管理者や安全管理者の方で良いのですが、健康経営の取り組みでははこれまでの安全衛生管理をさらに進展させた取り組みが多く含まれるため、本社からの情報共有や専門の教育が必要です。さらに、工場(全国事業場)なかでも食品工場を例に、健康経営の取り組みが広がりにくい3つの要因として

  1. 人材を経費として捉えがち
  2. 衛生・安全面の比重が高い
  3. 勤務形態・業務内容が固定されやすい

が挙げられます。特に1ですが、食品業界は価格競争が激しいことから工場での一定の生産数に対して人件費を中心とした経費を抑えて少しでも利益を増やそうと考えることは(短期的な視点で見た場合に)自然なことだと思います。しかし機械も定期点検や補修が必要ですし、ましてや人間は機械ではなく、より繊細で感情も伴いますし一人ひとりが大きな付加価値を秘めています。長期的な視点で見ると、人材を経費として酷使することは労働災害や法令違反に直結しますし、離職者や休職者が増えてしまうことは自社で積み重ねた技術やノウハウを失い、これまでの採用・教育コストを無駄にすることになります。

食品工場の強みと今後に向けて

食品工場で健康経営を展開する際に、上記で課題として挙げた2,3が強みとして活きると考えます。具体的に表現を変えると2は、健康経営の土台となる安全衛生管理への意識が日頃から高い、ということになります。このことは健康経営においては、職場の環境整備、感染予防対策、女性や高齢者の健康といったテーマに直結します。3は業務内容や勤務形態の安定を意味していますので、長時間労働が発生しにくく、定期健康診断やストレスチェックといった予定イベントを高い実施率でこなしていけることにつながります。オフィスワークより身体を動かすことも多いですし、ヘルスリテラシーのための教育機会や食生活のイベントなどもアプリやWEBサービスを活用することでシフト勤務で社員が同じ時間・場所にいなくとも継続して取り組みを進めていくことも可能です。食品工場の実状に合わせてより多くの社員が参加できるような仕組みを作ることは、まさに健康づくり担当者の手腕が発揮されるところです。食品工場の健康づくり担当者の皆様は、健康経営の取り組みについて本社の担当者と綿密に連携しつつ、教育として経済産業省が東京商工会議所に委託している「健康経営アドバイザー」研修プログラムを受講してみることも大変有効です。

健康づくり担当者を工場(全国事業場)に配置・育成して、本社から工場(全国事業場)に健康経営の取り組みを広げていきましょう!

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